暗号通貨トレードがFXの未来である5つの理由

 日本で利用者の多いFX、外国為替証拠金取引。これは自分のお金を担保にその何倍もの資金を使って通貨を売買することにより為替差益を狙う金融派生商品の一つです。私も何年も前から趣味でFXを嗜んでいました。

 しかし、ここ最近はビットコインを始めとした「暗号通貨」のトレードに熱中しています。暗号通貨はインターネット上で利用できるP2P型の決済システムです。

 ビットコインを手に入れるには今となっては誰かから貰うか買うかしか方法がありません。ここで、ビットコインを売りたい人と買いたい人のマッチングを行なうのが「取引所」です。日本の取引所では主に日本円を介してビットコインのやりとりが行われてます。ここで売買を繰り返すことが暗号通貨のトレーディングとなります。

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 私はここ数ヶ月、国内外問わず様々な取引所で売買してきました。その中で感じた暗号通貨トレードの優位点、可能性を今日は述べていきたいと思います。最終的な未来としては、すべてのFXファンのトレード欲求をFX業界から奪うことになるはずです。

1. 土日も取引できる

 FXのデメリットとして、土日は一切トレードできないことが挙げられます。一方、暗号通貨の取引所では土日関係なく常に開いているため、この部分に関してはかなり大きなアドバンテージであると言えます。基本的に取引所が閉まることはないので、土日明けにレートが大きく動いた状態でスタートするといったFXでよくある現象は起きません。

2. 資金移動が容易

 あるFX業者を利用していたが、操作性に難があるため別の業者に乗り換えたい。このような場合、一度自分の銀行口座へ出金処理をして再度別の業者の口座に振り込むといった作業が必要になります。しかも銀行振込を利用するため、9時から15時の間に行わなければ次の日まで待たなければならず、資金を移動させるだけで最速でも2,3日はかかってしまいます。

 一方、暗号通貨の場合は数十分で業者間の資金移動が可能です。銀行口座を利用する日本円入金/日本円出金の他に、ビットコイン入金/ビットコイン出金といった暗号通貨での入出金機能が提供されているからです。

 取引所では暗号通貨のウォレット機能が提供されており、自分専用のアドレスが割り当てられています。(例えば、私のビットコインアドレスはこんな感じ

1Gbt6mo6zYRsPpSkLi2oiaj9f9JqQHuCf8

 取引所Aから取引所Bに資金を移動させたい場合、取引所Aにあるビットコインを取引所Bで割り当てられたアドレス宛に出金すればよいわけです。取引所にもよりますが、トランザクションは1〜3confirmationくらいで売買に利用可能になるのでだいたい10〜30分くらいというところ。

 また、取引所間での資金移動が簡単なため裁定取引アービトラージ)も容易です。例えば、取引所Aでは1BTC=30000円で1.0BTC分の売り板が出ていて、取引所Bでは1BTC=31000円で1.0BTC分の買い板が出ていたとしましょう。この場合、Aで1.0BTC分を購入し、即そのまま取引所Bへ出金、取引所Bで1.0BTCを売れば1000円の利益が出ます。これが裁定取引です。(取引所間の価格の歪みを是正する行為なので、チャンスがあれば積極的にやっていきましょう)

 日本ではまだ少ないですが、海外では暗号通貨ペアの取引所も多く存在します。例えば、ビットコイン(BTC)を使ってライトコイン(LTC)を売買するというものです。ここで、取引所Xで1LTC=0.013BTCの価格で100LTC分の売り板があり、取引所Yでは1LTC=0.014BTCの価格で100LTC分の買い板が出ていたとしましょう。同様に、Xでライトコインを購入し即Yに送金、Yでライトコインを売却すれば価格差がそのまま利益となります。この例で100LTC分をそのままサヤ取りできたとすると利益は0.1BTCですね。また、Yでライトコインを売却した際に手元に残ったビットコインをXにまた送金することで、価格差が埋まるまで何度でも裁定取引を行うことが可能です。暗号通貨ペアトレードの最大の利点とも言えます。

3. 取引用APIが提供されている

 プログラマにとって一番嬉しい点がこのAPI。どの取引所でもAPIが提供されており、板情報の取得/資産状況の取得/新規注文発注/注文キャンセル/取引履歴取得/外部ウォレットへの送金等、一通りのことはできます。上記の裁定取引を自動で行うプログラムを組んでみるのも面白いかもしれません。

 国内取引所に対応した自作のライブラリをいくつか公開しているので、Scalaを書ける方は是非トレードにチャレンジしてみてください。

https://github.com/dsaki/CoinCheckScala

https://github.com/dsaki/ZaifScala

4. 板情報がある

 取引所は買いたい人と売りたい人のマッチングを行う場所なので板情報があります(この記事の最上部にある画像の左側)。株式取引と同じで、板を出したり板を食ったりといろいろな戦略が考えられます。これはメリットなのですが、同時に初心者には分かりにくいというデメリットでもあります。

 初心者向けに、業者が提示したレートで業者と直接取引する機能を提供している取引所も存在します。しかし、まだまだスプレッドが広くかなり不利な取引を強いられることになります。FX初期の頃もスプレッドは異常な広さでした。これは出来高が増えるに従って狭くなってくるのではないでしょうか。

5. SocialBitcoinTradeがある

 取引所で発行できるAPI-Keyを使い、自分のトレード履歴を公開できるSocialBitcoinTradeというサービスを先日公開しました。トレード成績の良いトレーダーをフォローして自分の取引に活かす、また自分の取引を公開することでコピートレードしてくれるファンを増やす。このようなことが起こることを想定しています。詳細はスライドをご覧ください。

http://socialbitcointrade.tokyo/

今後改善の余地があるところ

まだまだ法整備が進んでない

 FXでは業者に対して信託保全の義務があるので、万が一業者が破綻した場合でも顧客の資産は守られます。しかし暗号通貨取引所に関しては歴史が浅すぎるため、各社が自主規制ルールに則って顧客の資産を分離保管している(と公表している)に過ぎません。取引所が破綻するような事態が万が一起こった場合、顧客の資産がどうなるかは全くわかりません。

 法規制がしっかりしていない時期に破綻してしまった取引所の代表例がMt.GOXです。これはFXも同様で、黎明期の法規制がない時代にはMt.GOXの破綻と同じことがFXの世界でも起こりました。

http://forexpress.com/columns/blog.php?ID=240&uID=sato

 (FX業者が破綻してもドル/円/ユーロ共に問題なく機能しているのと同様、Mt.GOX(取引所)が破綻してもビットコインの機能自体には何の影響もありません。取引所はビットコインと現実通貨との交換をするだけの場所なのです。多くの日本人にビットコインに対するネガティブイメージを植えつけた日本のマスメディアの罪は非常に重いです。)

 この辺りの法に関することはいずれ必ず整備されていくはずなので、利用者としては時が経つのを待つしかないでしょう。

http://www.asahi.com/articles/ASH7862Z3H78ULFA02F.htmlwww.asahi.com

レバレッジを効かせたトレードのできる取引所がまだ少ない

 FXのようにレバレッジ25倍で大きな金額を動かすことのできる取引所はまだまだ少数です。現物の取引量がそこまで大きくはないので、デリバティブを開発するのも難しいのでしょう。

 暗号通貨でFXのように大きな取引をしたいのなら、現時点では中国の取引所で先物取引を行うのが良いと思います。世界最大の取引所である中国のOKCoinでは、暗号通貨を証拠金として最大20倍までのレバレッジを効かせた先物取引が可能です。

Okcoin Cryptocurrency Exchange | Buy Bitcoin, Ethereum & Crypto

結論

 以上のような理由から、FXファンの方は今すぐにでも暗号通貨トレードを始めるべきだと考えています。またFX業者もすぐに取引所事業に参入するべきだと常々思っていました。そんな中、日本のマネーパートナーズ社が米取引所大手のクラーケンと業務提携を発表したことはとても納得できる話でした。

Krakenとの業務提携に係る基本合意に関するお知らせ

http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1269310

 最後に、日本にある取引所をいくつか紹介しておきます。

coincheck.jp

zaif.jp